1995第1回ラリーレイドモンゴル
エタップレポート


ETAP−1 ウランバートル〜オンドルハーン リエゾン43.91kmスペシャル438.90km
ついにThe1st NISSEKI RALLY RAID MONGOL 1995はスタートした。午前6時ヌフトホテルのゲ一トからギャラリーに見送られてスタート。ゾーモットという町はずれからスペシャルがはじまる。網の目のようなピストの複雑なナビゲーションに悩まされな がら大草原の中を行く。とにかくスター卜直後からナビゲーションは大混乱。ここで 抜け出したのが#30博田巌、このスペシャルで2位#50モンゴルのエルヘンべイル に43分差の7:17:20でゴール。3位にもモンゴル人選手#51ナセムドルジがつける。 優勝候補の一角#8尾崎はナビゲーションに苦しめられトップに1時間22分おくれ の7位。同じく#52エルデネビレッグは1時間45分おくれの11位と出遅れた。 この工タップでマキシマムタイム遅れは20台、リタイアは7台(うち負傷者は#1 9石川、#64上村、#70大足の3選手、いずれも実力のある選手)
ETAP−2  オンドルハーン〜バルンウルト リエゾン10.63kmスペシャル643.10km
ETAP2は650kmの長丁場。リエゾンでオンドルハーンの町並みを抜けて、アムール川上流のヘルレン川沿いのハイスピードピストの闘い。濃い緑の大草原と美しく流れるへルレン川の感動的なルートだ。このエタップも#30博田巌が制した。 8:43:15。そして39秒差で#35林正明、ナピゲーションは比較的に容易だったこの エタップでは7位までが10分以内でゴール。#8尾崎はトップに遅れること7分56秒で4位、総合でも4位にジャンプアップ。総合では1位博田 2位ナヤムドルジ、 3位エルへンベイル、4位尾崎、5位ガントルガ、6位エルデネビレッグというモンゴルチームの大追撃体制が固まる。
この日リタイアは233・69kmのダブルコーションのギャップにクラッシュした#61BMWの福田はヘリで緊急移送される。その他5台のマシンがトラブルでリタイア。
ETAP−3   バルンウルト〜チョール スペシャル526.90km
ETAP3をスタートして行ったモーターサイクル部門は67台、既に17%の参加者が戦線を離れていた。南下してコピ砂漠の入リ口に向かうこの日、トップ争いに異変が起きた。4番手スタートした#8尾崎が先行する3台をパスしトップに立った直後の75.60kmの地点。下りのピストにあるギャップ、シングルコーションでクラッシュ、腹部を強打しリタイア。この事故現場に博田をはじめとする全選手がストップして応急手当、メディカルカーの到着を待って再スタートした。
このエタップのトップは#32榛葉7:7:10、#30博田は33分遅れの5位、#52 エルデネビレッグ6位、#50エルヘンペイルは2時間17分遅れの29位、#51 ナヤムドルジも同じく30位と大きく動いた。
しかし、総合では昨日までの2位、3位の#50エルヘンベイルと#51ナヤムドルジが大きく遅れた為に#30博田巌のトップは動かず、むしろ#32榛葉が前日の8 位から2位へと大きくジャンプアップ。しかしタイム差は1時間24分、そして総合 3位には前日6位のチヤンプこと#52工ルデネピレッグが浮上、4位に#3重松、 5位に#33佐々木と前日までとはトップグループは大きく動いた。この日リタイアは6台。
ETAP−4   チョール〜サインシヤンド スペシャル518.35km
lこの日、前夜のブリーフィングで相次ぐ負傷事故の為に前半をリエゾンとすることを 決定。しかし厳しいタイム設定の318.35kmのリエゾンは多くのタイムオーバーペナル ティを出す結果となった。
そしてマスターオブゴビのタイトルの懸かるコビのデューンステージ200kmのスペシャルは、未曾有の大量リタイア車を呑み込んでしまった。この日リタイアは20台。 ラリーは既に半数になってしまう。
このスペシャルを制したのは#53ガントルガ、2位に#52エルデネビレッグ、3 位#51ナヤムドルジ、4位#77渡達、5位に#30博田、博田はこの日トップの #53ガントルガに1時間16分24秒のピハインドを許してしまった。#50エルヘンペイルはCP不通過3h rのペナルティで後退。しかし総合では博田がトップを キープ、モンゴルチームの猛追もアタックしてくる選手が日替わりなので前半の預金 がキープできる。2位には#52エルデネビレッグがついに1時間を切って猛追。3 位にはさらに15分差で#53ガントルガ、4位には#32榛葉が頑張っている。
ETAP−5  サインシヤンド〜マンダルゴビ リエゾン467.49km
このスペシャルは前日の大混乱と43℃を越える熱波の為にリエソンに変更、しかも ナイトステージとなった、しかし16時間のタイム設定のナイトステージはスペシャ ル以上に厳しく、9名のリタイア者を出した。マンダルゴビの町並みの東側の美しい丘陵に設定されていたビバーク地では夜が明けても着かないエントラントの情報確認と捜索に向かうヘリの爆音が交錯していた。
ETAP−6  マンダルゴビ〜ダランザドガド  スペシャル469.50kmリエゾン42.42km
このスペシャルはまっすぐに南へ向かうまさにコピの中心エリアヘのエタップである。 このエタップでは総合2位で博田を猛追する#52エルデネピレッグが転倒リタイア。 このスペシャルで卜ップを奪ったのは#50エルヘンペイル、そして#33佐々木が 2位。総合1位の博田はこのスペシャル6位、エルヘンペイルに約50分遅れたが、 総合1位は変わらず、むしろ総合2位、3位につけるガントルガ、ナヤムドルジの2選手のタイム差は大きくなった。
ダランザドガドはゲルのキャンプ。レストランで食事、熱いシャワーとリフレッシュできる夜となった。
ETAP−7 ダランザドガド〜アルペイヘール  スペシャル405.59km
ゴピ砂漠をあとに北上、緑の美しい町アルペイヘールヘ向かう。数ケ所のナビゲーションの難しいポイントはあるものの徐々に気混も下がり快適になってくる。美しい 草洋の中のピストが起伏を伴って延びている。このスペシャルではトップグループが集団でパトルする姿が見られた。スペシャルのトップは昨日のエタップに続いて#5 エルヘンペイル、そして#53ガントルガ、#33佐々木、#51ナヤムドルジ、 #23嶋本、#30博田の順であるが1位から6位の博田までタイム差は4分。総合では#30博田が全く他を寄せ付けない。
ETAP−8 アルペイヘール〜ツェツェルレグ  スペシャル450.59km
ハンガイ山脈を越える終盤の山場ETAP8とETAP9の1番目の難所がパヤンホ ンゴルから100kmにわたる広大な谷筋のピストである。増水した川は行く手を阻 み、トップグループ以下は大混乱。従ってこのETAP8は2分割されRCPまでの110kmをETAP8−1、RCPからツェツェルレグの340kmをETAP8−2とした。
ETAP8−1は#33佐々木が制する。ETAP8−2はリグループメントが行われ 先行した5台のトップグループにタイムが与えられ、6位以降は5位と同タイムが与 えられた。総合では、ほぼ上位陣のタイム差に変動はない。総合10位、11位でマラソンクラス、カテゴリー の#77渡邉、#22山本がデッドヒート中である。
ETAP−9 ツェツェルレグ〜オギーヌール(キャンセル)
ETAP9は昨夜の大混乱と工ントラントの疲労を考慮し、今大会中最も美く感動的で、しかし最も過酷と云われたこのエタップをキャンセル。リエソンのショート カットルートでオギヌールヘ向かった。このラリー最後のビバークは湖のほとり、 充足感がテントサイトに溢れていた。
ETAP−10 オギーヌール〜ウランバートル スペシャル189.77kmリエゾン138.12km
ETAP10は一斉スタート。2機のヘリが上空を祝賀飛行、オフィシャルカーの ホーンの音に送られて一斉にスタート。最後のスペシャル189.77kmに挑む。マシント ラブルなどで止まりさえしなければ大きな順位の変動はないと見られたこのエタップ で猛チャージをかけたのは#22山本。昨日までのクラストップ#77渡邉との10 分のピハインドをこのエタップで逆転、ついにクラストップを手中にした。
総合  
最も冷静でクレバーな男が1日も総合1位の座を明け渡すことのない完璧な優勝を 飾った。#30博田巌である。若干23歳とは思えないクールで正確なナビゲーショ ンとスピードは超一流である。
当初の予想を大きく覆して上位を独占したのはモンゴルチームだった。優勝の最有力 候補のエルデネピレッグをETAP6の負傷リタイアで失ったものの残りの3名のライダーの戦いぶりは感動的なものであったといえる。惜しむらくはトップヘの組織的な追撃が出来なかったことだ。しかしモンゴルチームがチームクラス優勝、ガントル ガ選手がマスター・オフゴピ賞に輝いた。
総合5位には#32榛葉選手が激戦を勝ち抜いた。6位には右足の負傷をおして踏ん張った#33佐々木選手が元国際A級ライダーの貰録を見せつけた。総合7位の#7 6吉田選手はスーパーテネレを巧みに繰っての上位進出だ。又、総合21位完走の#6関麻実子選手、総合27位完走の#41伊藤広子選手、この2人の女性ライダーの活躍は素晴らしかった。特にETAP4、ETAP8の過酷な大自然の悪環境を克服した力は賞賛に値するものだろう。

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